コロナ禍でのれんの減損

突如として現れたコロナのせいで世の中はパニックね。さすがに暖かくなって湿度も上がれば少しは落ち着くような気もするけど、どうかしら。未知なウィルスだけに先が見えないわ、怖いわね。

 

食材を仕入れに街に出かけるとき、飲食店はどこもガラガラで厳しそうね。軒先にテイクアウトを並べてるの。そんな光景は今までなかったもの。昨日はラーメン屋までテイクアウト始めましたですって。

 

さて、そんな世の中だから、株価も酷いもんだわ。すかいらーくコメダ珈琲なんて、目も当てられないわ。のれんが大きいから、今後の決算が気になるわ。コベナンツに引っかからないと良いわね。こういうことがあるから、投資先を見るには財務を見なくちゃ。数字は夢を語れないけど、嘘もつかない。

のれんの大きい会社、あたしは買わないわ。

 

吉野家

牛丼、肉と玉ねぎがあれば、あとはあり物の調味料で作れる。お店ではあまり食べないけど、たまに作ります。手軽で美味しいわよね。あたしは好きよ。

 

今日は吉野家ホールディングス

ここも人気よね。株価は10年来の高値を更新しようとしてるのね。直近の四半期決算が良好。超特盛とやらが好評だったのね。株主優待は3千円分の食事券が年2回もらえるわ。配当金が2000円だから、合計8000円ね。

 

でもあたしは買わない。

2019年2月期の有価証券報告書をみると、過去5年間は業績は右肩下がりね。2019年2月期では60億円の当期純損失。営業CFも安定してないわ。2015年2月期118億円→2019年2月期28億円に減ってる。そもそも、この5年間では投資活動のキャッシュアウトを営業活動のキャッシュインでは賄えてないわ。財務活動のキャッシュインがプラスだから借入金を増やしてるのね。しかも手持ちの現預金も減ってるわ。

 

あたしは買わない。

 

 

すかいらーく

お金が好きなこと、別に隠すことじゃないわ。堂々としてれば良いのよ。お金は良くも悪くも使い方なんだから。

 

今日はすかいらーくホールディングス。

お店としてはガストね。あたしはあまり行かないけど、嫌いじゃないわ。ジョナサンなんて24時間開いてるじゃない、学生の頃を思い出すからかしら、通りかかると妙に安心するわ。ここは株主優待が魅力的よね。100株で6000円分、300株で20000円分もの食事券がもらえる。配当金を加えれば利回りは4%を超えるわ。

 

でもあたしは買わない。

この会社もコメダと似ているわ。のれんが大きいの。1461億円。ここものれんが消えたら債務超過ね。他方で借入金は1300億円もあるわ。ここも、ファンドの器が借入金をして、そのお金は昔の株主に流れたのね。

 

そして、財務コベナンツ。ここも赤字になると大変なのね。借入金も大きくは増やせないわ。

 

営業CFは316億円稼いでる。配当金に74億円、有形•無形資産の取得に190億円、リースに25億円を支払ってる。借入金の借換に22億円も使ってるわ。借入金自体は減ってないのね。

 

それとコメダとの類似点は、どちらも資本剰余金を原資とした配当金の支払いを行ってるわ。普通はそんな面倒な配当はしないの。おそらく税務上の理由だと思うけど面倒ね。

 

この会社がコメダと違うのは、利益がピークアウトしているところ。2016年12月期決算以降は二期続けて利益が減っているわ。調整後EBITDAは2016年12月期479億円→2018年12月期393億円に減っているわね。今期も減益予想。人件費はこの先も増加を予想してるね。今後はどのように盛り返すつもりなのかしらね。

 

それにしても、すかいらーくのファンは多いのね。今期は減配予想でも株価は高いまま。2016年から株主優待が3倍に拡充されたとはいえ、優待拡充を発表した2017年2月よりも株価が高いのは解せないわ。決算説明会資料によれば優待コストが1Qあたり20億円弱。年間で80億円ね。さらにコスト削減するとしたら株主優待の打ち切りかしら。この業績で株主優待をなくしたら…。

あたしは買わないわ。

 

コメダ珈琲

お金が好きな公認会計士

財務分析はできるけど、そもそも投資に、ガチな財務分析はあまり意味がないみたい。

ささやかな知識と経験と、ほぼ直感を頼りに投資についてつぶやくわ。

 

今日はコメダホールディングス

あたしも近くのコメダ珈琲によく行きます。コンセントがあって、充電しながらいつまででもケイタイを眺めていられちゃう。お店の人も親切で、一杯のミルクコーヒーを飲み終えた後も、何度お水をお代わりしてくれたことか。ステキ。

 

好きなお店には投資したくなるの。

今月8月は第2四半期決算月だから、いまならすぐに配当金と株主優待がもらえるわ。まだまだ利益は伸びてるし、ここのところの2000円を下回る株価は買いどきかしら。

 

ただね、やっぱり今日も買わない。

どうしても気になっちゃうの、383億円もの「のれん」。のれんて換金価値のない会計上の係数よ。これに対して借入金が197億円あるわ。借入金が価値ある資産に変わってないの。MBKパートナーズとかいうファンドが器を作って、そこが三菱UFJやみずほからお金を借りて旧コメダ珈琲を取得するときにお金を使ったのね。その後、このファンドの器であるMBKP3が商号変更して今の株式会社コメダになった。つまり、この借入金は旧コメダ珈琲の株主に流れて、今の会社には残ってないということ。

 

この借入金には財務コベナンツがついてるわ。ファンドによる再編時の名残りね。損益が赤字になったら大変なのね。またレバレッジレシオの制約があるから、この先は借入金を増やせそうにないわね。この低金利の時代に定期預金を増やしているのは銀行とのお付き合いかしら。

 

とはいえ、営業CFは年間で60億円超稼いでるから、今はまったく問題なさそうね。昨年度はこの60億円で、自己株式取得に10億円、配当金の支払いに22億円使った。他に定期預金を10億円積み増して、固定資産の取得に14億円支払った。借入金はほとんど返していないわ。利息の支払いが6000万円程度。金利はTIBOR+0.15%~0.20%だから急がなくて良いのね。

 

コメダ珈琲、とても居心地良くて、あたしは好きよ。でもね、じつはあたし、コンセントがあって長居できる喫茶店ならどこでも良いの。星乃珈琲でも、スタバでも。そう思うと、コメダ珈琲の成長はいつまでも続かない気がするわ。競争相手が多いもの。そして新しいサービスのお店がきっと現れる。そんなとき、やっぱり頼りになるのはお金だわ。のれんは役に立たないの。使える資産がなく、借入金を増やせられないなら、この先の変化に耐えられないわ。お金好きなあたしは換金価値のない資産が多い会社には興味ないの。

あたしはやっぱり買わないわ。